「九チャンハ白鳥デスネ」
「…しらとり?」


缶コーヒーを傾けて、きょとんと訊き返す。風が冷たい。
何もコートを着込んでまで屋上で食べる必要性は何処にもないのだが、
気がつけば今日の昼食も、生徒で混みあうマミーズを避けてこんなところで食べていた。


「ハイ」


こくりと頷く長身を見上げて、葉佩はもう一度首を傾げる。
大きな手で飲みづらそうにしているトトの缶は、しるこドリンクだ。
仮にも日本人の一員として、どうも汁粉が自動販売機で売られているのは許せないのだが、
この国を愛してやまない留学生的には、これも日本文化体験の一つなのだろう。


「今日、ヒナ先生、習イマシタ」
「雛せんせに?国語?
 …ああ、」


血を継いだ国の言葉ぐらい話せなくてどうする、と叩き込まれたお陰で、
葉佩の日本語に違和感はない。
けれど、日常会話が不自由なくこなせるということと、学問の一つとして
言葉を学ぶこととはまた意味合いが違うわけで。
半分以上眠っているその授業を思い出してみれば、
そういえば最近あの五・七・五のリズムをよく聞いた、ような。


「そらのあお…ええと海の青…」


なんだっけ、と呻る。


「九チャンハ、白鳥デスネ」


シラトリ、と、その独特の発音でもう一度言う。
そして少しだけ笑った、トトの顔が酷く寂しげに見えた。


「空ノ青ニモ海ノ青ニモ、染マラナイデ行ッテシマウ」
「俺はここに居るよ、トト」
「今ハ、デス」
「…」


気休めでも否定すれば、異国でずっと一人だったこの友達は安心してみせただろうか。
出来ない事を考えるのは無意味だ、と葉佩は思い、笑った。
この国の血が流れていたところで、どれだけ居心地が良かったところで、
結局自分は旅人でしかない。何処へ行っても。




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なんかぐだぐだになってきたので締め。トトは占いもするし当たるらしいし、遺跡発掘終わったら葉佩がさっさとどっか行っちゃうことぐらいまるっとお見通しなんじゃないかと。
ところで今日会社休んじゃった★ミ
休める状況じゃないんで明日は体力ゲージ1pxぐらいで瀕死ってそうですがもう  知  ら  ん  。
声出ないよもう!


折角だから粗大ごみのシールとオーブンレンジのちっちゃいのとミキサー買いに行こうかな!(寝ろよ